hirunireの庭

日記、詩(のようなもの)。

いつかの日記

坂が多い街の高台から見た夕日が綺麗だった。フェンスから伸びる影が横断歩道の白黒みたいに並んでいた。ただそれだけで、明日からも生きてゆこうと思えた。そして、私はシャッターを切る。確固たる正しさみたいなものなんて私の日常にはないけれど、それでも自分で積み重ねた月日だけは確かなものとして残ってゆく。その事実だけが、唯一、私と周りが同じこと。苔の黄色めいた緑が愛しくて足で踏むのが惜しかった。いつくしむこと、かわらないこと、進んでゆくこと。街はどんどん変わっていく。人間の身体も細胞レベルで見れば今日と明日では別人になっている。ずっと変わらないと思っていた物でもなんでもずっと進んでいる。それに気付かないことは罪なのかもしれない。生活もすすんでいく。眠る前に詩集を読むことは私の中で特別な時間だ。ほかならぬ自分の存在の居場所が、どこか遠い場所へ運ばれてゆくような気がする。存在の揺らめき。サン・キャッチャーから漏れる、きらめきに朝が運ばれて来るような感傷。カーテンに透けた太陽の光を掴もうする自分がいる。それは、私が昨日の朝も、今朝も、明日の朝でさえも諦めなかった証拠だ。