hirunireの庭

日記、詩(のようなもの)。

十二月の日記

 地下鉄のターミナルから地上へと繋がる階段をひとつの方向にむかって駆け上がる。頬を撫でる冷たい突風が下へ下へと吹き抜けていく。北の十二月。

 札幌という街を離れてはじめて灰色の天気を愛おしく思えたような気がする。凍てつくような寒さの大粒の湿った雪、強い風をかき分けるようにして目蓋をあけてもなお、家にたどり着かない困難を忘却したとき、この街をいつくしむことができる。

 visitorにとって綺麗事、この寒さも雪のきらめきも。今わたしが懐いている思いもすべて綺麗事だったらどうしよう。ドーナツのように空洞の街。

 

f:id:hirunire:20240120223811j:image

 

 雪、それは音を吸収する。吸い込まれていく音はどこへ行ってしまうのだろう。春を迎えたチューリップの栄養になっていたらいい、と思う。なり果てる、失くなる。また巡る。極端な季節を行ったり来たりしたその先に、わたしの望む暮らしはあるのだろうか。いつか。