のびかけの爪に気がついたとき空には欠けた月が浮かんでいて透かして見ると瓜二つで青白かったそのうち空が白んできてみたこともない鳥が /野鳥の区別がつかない私が鳴きだしたそんなに朝が来るのが嬉しいなんて夜が終わるのが泣きだしたくなるだなんて私と…
坂が多い街の高台から見た夕日が綺麗だった。フェンスから伸びる影が横断歩道の白黒みたいに並んでいた。ただそれだけで、明日からも生きてゆこうと思えた。そして、私はシャッターを切る。確固たる正しさみたいなものなんて私の日常にはないけれど、それで…
地下鉄へとつづく階段を下りてゆくとき海の底へ潜っている感覚がよみがえる潜水艦には ひとりぶんだけの席が用意されていてわたしは空のペッドボトルを、口に咥えて左右対称の形をした天井を見上げる苦しさは生きている証拠だから安心するきょうもちゃんと苦…